JRの乗車券は工夫次第でお安く購入できるテクニックが存在します。今回紹介するのは「一筆書き切符」と呼ばれるもの。これを使えばコスパよく一回の旅行で複数の街をめぐることが出来ます!!
一筆書き切符とは?
「一筆書き切符」は出発駅からいろいろな駅を経由し、最終的に出発駅まで戻ってくるような経路で発券される切符です。経路上の駅では途中下車が出来るので、複数の街を巡ることができます。
これがコスパ最強なんです!!ルート次第で数千円から数万円の節約になります!

この切符を発券すると、図のように出発地と終着地が同じという一見、意味不明な乗車券が完成します。

この乗車券のいったい何がコスパ最強なの?

それは一回の移動ごとに区切って買うより断然お得になるからだよ!
「一筆書き切符」がコスパ最強の理由
- 遠距離逓減性
JRの乗車券には「遠距離逓減制」というルールが存在します。これは乗車距離が長くなるほど1kmあたりの運賃が安くなるというルールです。隣駅に移動するのにかかる値段と10駅先まで移動するのにかかる値段を想像してみてください。1km当たりの値段は10駅先まで移動する場合の方が安いはずです。
・東京駅→品川駅 6.8kmで180円 26円/km
・東京駅→横浜駅 28.8kmで490円 17円/km
このルールを活用したのが今回の「一筆書き切符」なんです。一筆書き切符は複数の駅を経由して戻ってくるという性質上、移動距離が伸びます。結果として、1kmあたりの値段はどんどん安くなります。
- 安さを検証!


具体的に見てみましょう!図の乗車券のルートは京都→金沢→東京→京都と北陸経由で東京に行き、東海道新幹線で京都に帰るというものです。一筆書き切符ですと額面の通り14080円かかっています。これを京都→金沢、金沢→東京、東京→京都と別々で購入した場合を考えましょう。京都→金沢:3740円、金沢→東京:7480円、東京→京都:8360円で合計19580円になります。
・一筆書き切符(京都→金沢→東京→京都):14080円
・京都→金沢、金沢→東京、東京→京都の別々購入:19580円
5500円の節約!!
一筆書き切符の威力、ご理解いただけましたか?
乗車券の買い方をちょっと工夫するだけでこれほどの節約効果があるんです!!

金沢で豪華なお寿司を食べてもおつりが来るレベル!
例を見て気づく方もいらっしゃるかもしれませんが京都と東京の往復の乗車券の値段は8360円の倍の16720円ですから、北陸に寄り道したのに、単純な京都と東京の往復より乗車券代は安くなっちゃうんです!
一筆書き切符のルール(注意点)
「一筆書き切符」の威力を理解してもらった上で、一筆書き切符を使う際の注意点を解説します。
- 一度通った駅を2回通ることはNG
- 有効期間がある
- 特急券などは含まれない
- 一度通った駅を2回通ることはNG
「一筆書き切符」はその名前の通り、一筆書きで描けるルートでなければなりません。もし、重複するルートを含んでしまうと発券することは出来ません(例外アリ)。また、一度通ったルートを逆戻りするといった行為もNGです。逆戻りする場合は逆戻りの分だけ別途乗車券が必要です。

赤線のように一筆書きの必要があります。赤線のルートに青線のような追加は出来ません。青線部分は別途必要になります。もちろん途中下車したうえで、別の乗車券を買って使うことは大丈夫です。ルートを外れた寄り道も寄り道分だけ別で買えば乗れます。
- 有効期間がある
一般に乗車券は移動距離に応じて使える日数が決まっています。「一筆書き切符」は乗車券の1種です。よって、有効期間を過ぎた場合は紙くずになります。複数都市を回るけど各都市に何日も滞在するよ!といった場合は不向きな可能性があります。有効期間はJRの規則により以下に定められています。
もちろん有効期間内であれば、途中下車は何度でも可能です。京都→金沢→東京→京都のルートだと有効期間は1週間です。

JR西日本きっぷのルールより引用
- 特急券などは含まれない
新幹線に乗る際の料金は何で決まっているかご存じですか?新幹線は移動距離にかかる乗車券+新幹線の乗車にかかる特急券の合計で決まっています。「一筆書き切符」はあくまで乗車券を買っているにすぎません。よって、特急や新幹線などに乗る場合は別途、乗る区間分の特急券の購入が必要です。
一筆書き切符の買い方
みどりの券売機を操作して自分で買うことやネット予約(えきねっと)で買うことも出来なくはありませんが複雑な作業になりますし、希望のルートがヒットしなかったりと問題が発生することが多いです。
券売機やネットは「一筆書き切符」のような複雑な切符の発券には不向きなのです。
よって基本的にみどりの窓口などで駅員さんから発券してもらう方法をオススメします。素直にルートを説明し、駅員さんから発券してもらいましょう。不安ならあらかじめ紙などにルートを書いて提出すればOKです。特急や新幹線で乗る列車が決まっている場合は同時に特急券も購入すると手間なく、列車に乗れます。
「一筆書き切符」はあくまで普通の乗車券なので旅行当日に購入することも出来ます。お好きなタイミングで買ってください。
また、学生の方は学割で発券すれば2割引きになりますので「一筆書き切符」を購入する際には学校で学割証を発行してもらってくださいね。
特定都市区内制度による例外
小難しい話になりますが知ってて損はない制度ですし、最悪知らないと購入の際に戸惑う可能性があるので例外についてお話します。
JRが定める規則により、200kmを超え、特定の都市区内を発着する乗車券は発着地が〇〇市内、〇〇都区内となります。これが特定都市区内制度です。つまり、東京などの大都市で発着し、200kmを超える場合は東京駅出発ではなく東京都区内出発となり、東京都区内のどの駅からでも乗車券が使えるという特例です。この特例が一筆書き切符のルート重複NGの例外になりえるのです。

実は安さの検証で例に出したこの一筆書き切符、京都市内だけルート重複NGのルールに違反しても大丈夫なんです。どういうことかと言いますと、この切符には特定都市区内制度が適応されています。つまり、京都市内の駅からならどこで乗ってもいいことになります。
制度適応前だと、この切符は山科→金沢→東京→山科というものなのです。そこに制度が適応され、京都市内→金沢→東京→京都市内という切符に化けた姿なのです。

京都市内を拡大すると山科と京都はルートが重複していますよね。本来ルール違反なのですが特定都市区内制度により京都市内の駅からならどこで乗ってもいいので違反にならないのです。難しかったですかね…。
ですので京都→金沢→東京→京都のルートは特例で出来ますが、東京→京都→金沢→東京のルートは重複NGに引っかかるので出来ません。東京→山科→金沢→東京なら出来ます。京都発着以外の方で京都で途中下車される場合は山科・京都間(片道190円)を別で買う必要があります。単に乗り換えの関係上、京都駅を使う場合はこれまた別の特例が発動するので山科・京都間を別で買う必要はありません。
「一筆書き切符」でお得な旅を!
ややこしい話をしましたがこれだけ覚えて帰ってください。
一筆書きのルートで乗車券を買うだけで、コスパ最強の鉄道旅が出来る!!
一筆書き切符はルート無限大!いろんな街をJRでお得にめぐってみましょう!

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